旅行の最終日、日本人としてのルーツを探すようなルートを辿り、ヤマト王権華やかし頃の足跡を巡りに神宮としては明治天皇によって開かれた比較的新しい社ですが、橿原神宮をスタート地点としました。
最近JR東海のCMとしてオンエアされているので目にされている方も多いでしょうが、明治神宮や伊勢神宮など同じ神宮の名をいただく社と違った造りの外拝殿前の広い参道と、本殿の後ろにそびえる畝傍山とのスケール感が初代天皇を祀る信仰の大きさを感じさせてくれます。
橿原神宮から等彌神社を目指します、こちらの等彌神社の東にある鳥見山で初代天皇の神武天皇が国の新穀及び産物を供えた大嘗会が行われたと言われ、古い歴史を持つ神社で境内はどちらを見ても苔むし時間の流れが作る姿を見せてくれ、石灯籠や石垣など神が宿っているようにも見えます。すべてのお社に参拝し次の大神神社に向かいます。
国道169号線から見える大きな鳥居を目指しますが、車でほんと5分くらいの距離です。流石に日本最古と言われ人気のある有名な神社ですから、駐車場は少し離れた場所しか空いていませんでした。
こちらの大神神社には本殿がありません、拝殿を通して三輪山を拝む原初の信仰の姿です。御神体ですので入山して登拝するにも申請と許可が必要な山で、地域一帯が神域のように様々な神社が点在します、次回は朝から一日かけて回りたい所、今回は大神神社域内の社と拝殿からのみ参拝し次に予定している檜原神社に向かいます。
この檜原神社も大神神社域内の神社なのかもしれないほどの距離にありますし、御神体も同じように三輪山を拝殿から拝む形で、元伊勢の言い伝えも有ると聞きます。畑と山裾の間に佇む華美な装飾を取り除いた素の神社といった感じの社で、御神体の三輪山の分身を本殿の代わりに神籬(ヒモロギ)が御神体としてあるような神社でした。
また少し北上し石上神宮へ、神宮境内には数十匹の鶏が自由気ままに歩き回っており、雄鶏が鳴き声を競うかのように見事な雄叫びを上げていました。日本最古の神社の一つと言われ拝殿と摂社出雲建雄神社拝殿は国宝ですし、宝物の多くは重要文化財に指定されると言った歴史ある社で古墳時代、国の行政機関の一つ武門を受け持つ物部氏の総氏神でした。
こちらもかつては本殿を持たず、禁足地として神籬のように神聖な地としていたようですが、発掘され本殿を造営し御神体を納め現在の姿になったとのことです。
若い頃、歴史なんては少しも興味なかったのですが、古代の日本人が社会という仕組みの中で出てきた信仰の足跡を見てみたいなんて齢をとった証拠なんでしょうか。伊勢神宮は神聖な雰囲気と多くの神様が祀られ、参拝することでなんだか魂の洗濯のように心の澱のようなものが取り除かれるように感じられましたが、歩いても行ける距離にたくさんの古社・名社が揃っている奈良は色んな発見もあり楽しかったですね。とりあえずサラリと全体を見たことで、次回機会を作ってじっくりと見て回れるプランを京都も含め、考えてみようと思います。