贅沢

 お彼岸だったので京扇子の伝統工芸士だった友人の十三回忌に墓参りに行って来ました。お墓のある清水はオーバーツーリズムで観光客で溢れかえり、どこにも立ち寄らず宿泊先の奈良に直行しました。奈良に限らず旅行で立ち寄った地方で造られた日本酒と発酵食品の味噌と醤油を醸造元で買い求め、自宅で食べる料理に使って旅行を反芻して楽しんだりしています。

 今回は御所市にある油長酒造のお酒をと思いましたが、醸造元で直販していないので取り扱っている酒屋で購入いたしました。味噌・醤油は吉野町宮滝の梅谷みそ醤油で味噌四種と醤油にポン酢を購入、宿泊は4年前にも泊まった桜井のオーベルジュ・ド・プレザンス桜井に泊まりました。

 ヨーロッパで産まれたオーベルジュと言う形態、車で旅行した先の土地のレストランで食事をしてそのまま宿泊出来る施設。ここのオーベルジュ奈良県立「なら食と農の創造国際大学」の実習施設でフレンチの(株)ひらまつが運営しており、周りの土地には温泉も観光施設も無く、奈良盆地を見渡せる小高い丘の上にあるのは農作物の畑だけ。

京都方面を望む、中央に見えるのは生駒山

 地上波TVの番組で「青空レストラン」なんて番組があり、MCの宮川大輔が旬の野菜が取れる畑でとれたてを齧っては「うっま〜い!、なにこれ」なんていうのを観て、とれたての旬の野菜をその場で食べて美味しいのは当たり前じゃん。と突っ込んだりもしますが、まさにそれを提供してくれるのがこのオーベルジュ。もちろん野菜だけでなく肉や魚もいい素材を美味しく調理していただきます。ディナーは調理されたものにお酒とのマリアージュで頂くので素材のおいしさを感じられるのは朝食。

 どのホテルでの朝食にオレンジジュースは定番ですが、やっぱり食べ頃のオレンジを直前に絞ったジュースや、濃厚でクリーミーな低温殺菌の牛乳。サラダにはまず岩塩とオリーヴオイルだけで食すと野菜の旨みが口の中に広がります。

卵料理は蕎麦粉のガレット

 手に入りにくい食材を凝った料理でいただくより、旬の食材をとれたてで食材のおいしさを最大限活かした食事は何よりも贅沢な食事だと感じました。最低でも四季折々春夏秋冬の食材でいただきたくなるオーベルジュでした。